実家がいわゆるゴミ屋敷の状態になっている場合、離れて暮らす親族や相続人は、想像以上に深刻な法的リスクを背負うことになります。現在進行形で親がゴミを溜め込んでいる場合、その所有権は親にあるため、たとえ子であっても勝手に処分することは法的に不法侵入や器物損壊の罪に問われる恐れがあります。しかし、一方でゴミ屋敷が原因で火災が発生したり、ゴミが崩れて通行人に怪我をさせたりした場合、所有者である親だけでなく、管理を怠っていた親族に対しても損害賠償責任が追求されるケースがあります。特に親が認知症などで判断能力を失っている場合、家族が「成年後見人」などの法的な立場を得なければ、財産管理の一環として清掃を行うことも困難になります。さらに深刻なのが、相続が発生した後の問題です。親が亡くなり、実家を相続することになった場合、そのゴミ屋敷という「負の遺産」もそのまま引き継ぐことになります。相続人は、ゴミの撤去費用だけでなく、近隣からの苦情や、自治体から出されている是正命令などの法的義務もすべて相続します。もし、多額の清掃費用や損害賠償の可能性がある場合、「相続放棄」という選択肢を検討しなければなりません。しかし、相続放棄をすればすべて解決するわけではなく、民法の規定により、次の相続人が管理を始めるまで、あるいは相続財産清算人が選任されるまでは、放棄した相続人がその物件を管理する義務を負い続けることになります。ゴミ屋敷を放置し続けることは、親族にとって将来的な法的・経済的な時限爆弾を抱えるのと同じです。法律の観点から見れば、早いうちに家庭裁判所の手続きを経て成年後見制度を利用したり、親との話し合いを重ねて生前に処分を進めたりすることが、親族を守るための唯一の防御策となります。ゴミ屋敷は一世帯の問題に留まらず、法律という鎖を通じて、次の世代までをも縛り付ける重い枷となるのです。相続という法的なターニングポイントが来る前に、実家の現状を法的なリスクの観点から再点検し、対策を講じることが、家族という共同体を守るために不可欠な知恵と言えるでしょう。