ゴミ屋敷の状態から賃貸物件を退去する場合、何の準備もなしに管理会社の立ち会いの日を迎えるのは、白紙の小切手を渡すようなものです。退去費用を少しでも抑えるためには、自力でできる限りの「初期消火」を行うことが極めて重要です。まず取り組むべきは、不用品の自力搬出です。自治体のゴミ収集日を最大限に活用し、最も費用がかさむ「廃棄物の量」を物理的に減らしてください。たとえ全体の二割でも三割でも、自分の手でゴミを外に出すことができれば、業者に依頼する際のトラック台数や作業員の人数を減らすことができ、数十万円単位の節約に繋がります。次に重要なのは、水回りの徹底清掃です。トイレの尿石やキッチンの油汚れ、風呂のカビなどは、市販の強力な洗剤を駆使して、可能な限り「落ちない汚れ」ではないことを証明する必要があります。設備交換が必要だと判断されるか、ハウスクリーニングで対応可能だと判断されるかの差は、数万円どころか数十万円の差になって現れます。また、壁紙のヤニ汚れや軽微な汚れは、メラミンスポンジなどで優しく落としておきましょう。ただし、壁紙を破いてしまうと逆効果になるため、力加減には注意が必要です。さらに、意外と見落としがちなのが「換気」です。退去の数週間前から、窓を全開にして空気を入れ替え、市販の消臭剤を大量に配置して、部屋に染み付いた「ゴミ屋敷特有の臭い」を少しでも和らげておくことが大切です。管理会社の担当者が部屋に入った瞬間の第一印象が「ひどい悪臭」であれば、即座に高額な特殊清掃や全面張り替えのフラグが立ってしまいます。最後に、自力での限界を感じた場合は、管理会社が手配する業者よりも前に、自分で探した安い不用品回収業者や清掃業者を一度入れることを検討してください。相見積もりを取ることで、管理会社が提示する金額の正当性を判断する基準ができます。退去費用の交渉において、借主が無知であることは最大の不利となります。自らの手と足を動かして環境を改善したという実績が、最終的な請求額を数万、数十万と引き下げる唯一の武器になるのです。
退去費用を少しでも抑えるための事前の片付け術