賃貸アパートを経営する立場として、最も頭を悩ませる問題の一つが、入居者による室内のゴミ屋敷化です。多くの大家が、入居時には礼儀正しく、清潔感のあった人物が、数年後には部屋をゴミの山に変えてしまう現実に直面し、深い悲しみと憤りを感じています。ある事例では、退去後の立ち会いでドアを開けた瞬間、天井まで届くほどのゴミの壁に圧倒され、一歩も中に入れないことがありました。アパートの木造床はゴミの重みでたわみ、壁紙には異臭とカビが染み付いており、原状回復費用は数百万円に達しました。大家にとっての苦悩は、経済的な損失だけではありません。隣接する部屋の住人から「異臭がする」「虫が湧いている」という苦情が絶えず、善良な入居者が次々と退去してしまうという二次被害が最も深刻です。アパートという共同生活の場において、一部屋の荒廃は建物全体の価値を著しく低下させます。しかし、現行の法律下では、居住権が強く保護されているため、大家が勝手に鍵を開けて掃除をしたり、無理やり退去させたりすることは極めて困難です。何度も手紙を出し、電話をかけ、時には玄関先で対話を試みますが、ゴミ屋敷の住人の多くは対人恐怖や社会への不信感を抱えており、頑なに拒絶されることがほとんどです。ようやく退去に漕ぎ着けたとしても、残されたゴミの山を前にして、大家は自分の所有物が無残に扱われたことへの虚しさを感じざるを得ません。ゴミ屋敷問題は、大家一人の力で解決できるものではなく、行政や福祉、そして司法が連携して、居住者の権利を守りつつも建物の維持管理を適切に行えるような仕組み作りが必要です。そして、最も重要なのは、新居に持ち込む荷物を現在の三割以下に絞り込むという強い意志です。汚部屋の荷物の大半は、実はなくても困らない「不安の集積」です。それらを新居に持ち込めば、新しい生活もすぐに元の状態に戻ってしまいます。アパートを経営するということは、単に部屋を貸すことではなく、一つの小さなコミュニティを守ることなのだと、荒れ果てた部屋を清掃するたびに痛感しています。
アパート大家が語るゴミ屋敷住人への苦悩