足の踏み場もないほど埋め尽くされたゴミ屋敷。その不衛生な環境は、様々な「害虫」にとって、まさに天国のような繁殖場所となります。ゴミ屋敷で大量発生する害虫は、単に「気持ちが悪い」というレベルの問題ではありません。それは、住人自身、そして時には近隣住民の健康をも脅かす、極めて深刻な衛生問題なのです。ゴミ屋敷で最もよく見られる害虫の代表格が、「ゴキブリ」です。彼らは、食べ物のカスや人間のフケ、髪の毛など、あらゆる有機物を餌とし、暖かく湿った、暗い場所を好みます。ゴミの山は、彼らにとって絶好の餌場であり、隠れ家であり、そして産卵場所となります。ゴキブリは、サルモネラ菌やO-157といった食中毒菌を媒介することが知られており、そのフンや死骸は、アレルギー性鼻炎や気管支喘息の原因となるアレルゲンにもなります。次に問題となるのが、「ハエ」です。特に、生ゴミの腐敗臭に引き寄せられて発生するコバエやイエバエは、その繁殖力が非常に強く、あっという間に数を増やします。彼らは、ゴミと人間の生活空間を行き来することで、病原菌を運び、食中毒などの感染症を引き起こすリスクを高めます。さらに、衣類や食品を食い荒らす「チャタテムシ」や「ヒメカツオブシムシ」、そして人を刺して強い痒みを引き起こす「ダニ」や「ノミ」なども、ホコリや湿気が多いゴミ屋敷では大量発生しがちです。そして、最も危険な害獣の一つが「ネズミ」です。ゴミ屋敷は、ネズミにとっても格好の巣窟となります。彼らは、電気コードをかじって火災を引き起こす危険性があるだけでなく、レプトスピラ症やサルモネラ症など、重篤な感染症を媒介することもあります。このように、ゴミ屋敷は、あらゆる害虫・害獣の温床であり、感染症やアレルギー疾患の巨大なリスク源なのです。