ゴミ屋敷と聞くと、片付けられない人の問題として個人的な領域だと捉えられがちです。しかし、その問題が深刻化すると、個人の範疇を超え、最終的には「差し押さえ」という法的な措置に発展する可能性を秘めています。一体、どのような状況でゴミ屋敷が差し押さえの対象となるのでしょうか。差し押さえとは、借金や税金などの債務が滞納された場合に、債務者の財産を強制的に処分して債務を回収する国の法的手続きです。ゴミ屋敷が差し押さえられる最も一般的なケースは、固定資産税や都市計画税などの税金の滞納です。不動産を所有している限り、これらの税金は毎年発生します。もし、何らかの理由でこれらの税金を長期間滞納し続けると、自治体は所有者の財産、つまりゴミ屋敷となっている土地や建物を差し押さえ、公売にかけることで滞納されている税金を回収しようとします。ゴミ屋敷であっても、それが不動産であることに変わりはなく、差し押さえの対象となります。むしろ、ゴミが溜まっていることで不動産の価値が下がり、売却価格が低くなるという不利益を所有者は被ることになります。次に多いのが、住宅ローンやその他の借入金の返済滞納です。失業、病気、あるいは浪費など、様々な理由で借金の返済が困難になることがあります。住宅ローンを利用して購入した自宅の場合、金融機関は返済が滞ると抵当権を実行し、ゴミ屋敷であってもその自宅を差し押さえ、競売にかけることで貸したお金を回収しようとします。この場合も、家の中の状態は差し押さえの進行に影響を与えません。むしろ、ゴミの山が住宅の価値を損ない、競売での売却価格が低くなることで、債務が完済されずに残る「残債」が発生するリスクが高まります。さらに、ゴミ屋敷が原因で近隣住民との間でトラブルになり、それが訴訟に発展し、損害賠償命令が下されることもあります。例えば、悪臭や害虫が隣家にまで及び健康被害を与えたり、ゴミの不法投棄によって周辺環境が汚染されたりした場合です。裁判で損害賠償の支払いが命じられたにもかかわらず、ゴミ屋敷の所有者がその支払いを拒否した場合、相手方は債務名義(判決書など)に基づき、所有者の財産を差し押さえることを裁判所に申し立てることができます。