数多くの過酷な現場を経験してきたプロの視点から言えば、脱汚部屋に最も必要なのは、感情を一時的に遮断する「システムの構築」です。依頼主の多くは、物に対して深い思い入れを持っていますが、その感情に寄り添いすぎると、作業は何日経っても終わりません。プロが行う脱汚部屋の極意は、まず「物の住所を物理的に剥奪する」ことです。床にあるものは全て一度一箇所に集め、その場所を完全に空にする。その上で、今の生活に本当に必要なものだけを選別し、新しい住所を割り振っていきます。この際、選別の基準は非常にシンプルです。「一秒で必要だと判断できないものは、保留または処分」です。悩む時間は、脱汚部屋における最大の敵です。また、多くの人が陥る罠に、収納家具の買い足しがあります。部屋が汚いのは収納が足りないからではなく、物が多すぎるからです。プロの現場では、まず収納家具を減らすことから始める場合もあります。入れ物があれば、人間は無意識にそれを埋めようとしてしまうからです。脱汚部屋を自分で行う際も、収納に頼るのではなく、物の総量を減らすことに全精力を注いでください。さらに、悪臭や害虫の対策も欠かせません。ゴミが長期間放置された部屋では、床材や壁紙にまで臭いが染み付いています。表面的なゴミを取り除いた後は、プロ仕様の消臭剤やオゾン脱臭機を使用することもありますが、一般家庭では、徹底的な拭き掃除と換気が基本となります。特に、家具の裏側や隙間に溜まった埃は、アレルギーの原因となるだけでなく、部屋全体の空気を淀ませます。これらを一掃した時の空気の軽さは、体験した人にしか分からない感動があります。脱汚部屋を成功させるには、自分をその道の「監督」だと考え、冷静に、かつ迅速に現場を指揮する意識を持つことが大切です。感情は、綺麗になった部屋でゆっくりと味わえばいい。作業中は、ひたすら効率を追求する職人になりきることが、脱汚部屋を最短で完遂する道です。
掃除のプロが語る脱汚部屋の極意