賃貸管理の現場で十数年働いてきましたが、ゴミ屋敷の退去立ち会いは、何度経験しても精神的にこたえる仕事です。ドアを開けた瞬間に鼻を突く異臭、そして天井まで届かんばかりのゴミの山。そこに住んでいたはずの入居者が、申し訳なさそうに、あるいは開き直ったように立っている姿を見ると、やるせない気持ちになります。ある現場では、ゴミの重みで床が抜け、下の階にまで影響が出そうになっていたことがありました。私たちが提示する退去費用の見積もりに対して、多くのお客様は「高すぎる、ぼったくりだ」と怒鳴られます。しかし、現実を見ていただきたいのです。ゴミの中から這い出してくる無数の害虫、腐敗して床と一体化した生ゴミ、そして何度清掃しても消えない死臭のような悪臭。これらを解決し、次の入居者が安心して住める状態に戻すには、一般的なハウスクリーニングの数倍の手間とコストがかかります。私たちが最も困るのは、費用の支払いを拒否されることですが、それ以上に「片付ければいいんでしょ」と、コンビニ袋に詰めたゴミを玄関先に置いただけの状態で退去しようとする無責任さです。退去費用には、作業員が命がけで防護服を着て行う作業の対価が含まれています。ゴミ屋敷の中には、注射針や割れたガラス、正体不明の薬品などが混じっていることもあり、作業には常に怪我や感染症のリスクが伴います。また、費用の交渉においてガイドラインを持ち出される方もいますが、ゴミ屋敷化は明らかな「善管注意義務違反」であり、ガイドラインの保護対象外となることがほとんどです。私たちが請求するのは、あくまで建物を元の価値に戻すために必要な最低限の金額です。トラブルを避けるためには、汚してしまったことを認め、誠実に相談していただくのが一番の近道です。逃げたり隠れたりしても、連帯保証人や法的な手続きを通じて、最終的には支払わなければならなくなります。管理会社としても、できればこのような高額請求はしたくないのが本音です。お互いにとって不幸な結末にならないよう、日頃からの管理を徹底していただくことを願うばかりです。
管理会社担当者が語る退去トラブルの凄まじい現場