多くの賃貸契約において、入居時に「敷金」を預けます。これは退去時の清掃や修繕に充てられる担保金としての性格を持っていますが、ゴミ屋敷の退去において、敷金が全額返還されるどころか、それで費用が賄えることはまずあり得ません。敷金が家賃の一、二ヶ月分だとすれば、それは通常のクリーニング費用には十分ですが、ゴミ屋敷の修繕には桁が一つ、あるいは二つ足りないのが現実です。退去後に届く追加請求書には、敷金が差し引かれた後の残金が記載されており、その支払期日は通常、数週間後という極めて短い期間に設定されます。ここで支払いが滞ると、まず契約時の「連帯保証人」に連絡が行きます。親族や知人に自分がゴミ屋敷を作っていたことが露呈し、金銭的な迷惑をかけることになるこのプロセスは、精神的に非常に大きなダメージとなります。最近では「家賃保証会社」を利用しているケースが多いですが、保証会社が退去費用を立て替えた場合、その回収は家賃滞納と同様の厳しい取り立てに繋がります。督促を無視し続ければ、裁判所を通じて給与の差し押さえなどの法的措置が取られることもあります。このような事態に備えるために、まず重要なのは、退去前に必ず「自分で見積もりを取る」ことです。管理会社が提示する前に、民間のゴミ屋敷清掃業者に現状を見せ、いくらかかるかの概算を知っておく必要があります。もしその金額が支払えないほど高額であれば、退去の日を遅らせてでも自力で片付けるか、親族に相談して資金を工面するなどの準備が必要です。また、退去時には管理会社としっかりとコミュニケーションを取り、誠実に謝罪し、分割払いの相談を早めに行うことも一つの手です。開き直ったり、連絡を絶ったりすることが、相手を強硬な法的手段へと走らせる最大の要因となります。追加請求は、逃げられない現実です。その額を少しでも減らす努力と、万が一の支払い計画を立てておくことが、ゴミ屋敷から本当の意味で脱却し、人生を再スタートさせるために不可欠なプロセスとなります。