足の踏み場もない汚部屋で、どうやって段ボールを組み立て、荷物を詰めていけばいいのか。その物理的な難問を解決するためのノウハウを紹介します。まず最初に行うべきは「空中戦の展開」です。床が使えない以上、まずは机の上やベッドの上を強制的に片付け、そこを唯一の作業台として確保してください。作業台が確保できたら、まずはそこに乗る分だけの荷物を周辺からピックアップし、仕分けと梱包を行います。この際、絶対にやってはいけないのは、部屋のあちこちから中途半端に物を集めることです。視界に入ったものを無秩序に触るのではなく、「この一角を制圧する」という明確な目標を定め、一平方メートルずつ、確実に床を露出させていくのが鉄則です。露出した床は、完成した段ボールの保管場所として活用します。汚部屋での荷造りにおいて最大の敵は、作業中の「迷い」が生む停滞です。迷った瞬間に作業は止まり、再び部屋はカオスに戻ります。これを防ぐために、あらかじめ「ゴミ袋」「保留箱」「新居行き箱」の三つの入り口を自分の手の届く範囲に配置してください。手に取ったものは、必ずこの三つのどれかに入れる。手に持ったまま考え込まない。このテンポの維持が、汚部屋荷造りの生命線です。また、汚部屋の荷物は重なっているため、下にあるものほど湿気や埃の影響を受けています。梱包する際は、必ず乾いた布で一拭きし、カビの発生がないか確認してください。万が一、カビや害虫の痕跡がある場合は、迷わずその場で廃棄する勇気が必要です。新居にその一欠片を持ち込むだけで、苦労して行う引越しが「汚部屋の移転」に成り下がってしまいます。さらに、作業中は必ず高性能なマスクと軍手を着用し、自分自身の健康を守ることも忘れないでください。埃が舞う中での作業は想像以上に体力を消耗させます。三十分作業したら十分休む、というペース配分を守り、孤独な戦いを乗り切るための自分なりのリズムを作ってください。床が少しずつ見えてくる過程は、自分自身の支配領域が広がっていく感覚に近いものです。その喜びを力に変えて、最後の一箱まで諦めずに詰め続けてください。
床が見えない部屋で荷造りを行う方法